オーストリア散策 > エピソード > No.159 |
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オーストリア西部のチロル州ロイッテ郡には、ユングホルツという人口300人余り(2012年1月現在)の小さな町があります。この町、上の地図で見ただけならごく平凡な山奥の田舎にすぎませんね。しかしその地図を拡大すると、実は誰もが「なんだこりゃ?」と思わずにはいられない珍スポットであることが分かるんですよ。
ちなみに、ユングホルツとオーストリア本土が細々と繋がっている部分というのは、下の写真で白い矢印の先にあるソルクシュローフェンという山の頂上です!つまり、根性で道なき道を歩いて標高1,636mの岩を越えない限り、国内の隣町に行くことは不可能なのです。すさまじいですね。ご参考までに、その山頂はどうなっているのだろうとネット検索したら、こちちのサイトのいちばん下にその写真が出ていました。
なお、ユングホルツという地名は「若木」を意味しています。そしてこの町の紋章は下の画像のとおりで、チロルを象徴する赤鷲の羽根に若い木が描かれています。この絵柄を見る限り、住民はまだまだオーストリアに居残る気満々なようですね。
それと、この町が陸の孤島になってしまったいきさつについてなんですが、残念ながらいくら調べてもエキサイティングな歴史はありませんでした。なんでもまず、1342年6月24日にチロルの誰かがバイエルン公国のヴェルタッハに住む誰かからこの土地を購入すると契約したそうです。そしてそれから500年余りに渡ってユングホルツは難なくチロルの一部であり続け、バイエルン王国とオーストリア帝国による1844年の協定(条文完成は1850年)でチロル領ということが最終決定。で、その後ドイツが領有権を主張することも、オーストリアがマトモな道路を作ることも、まったくなかったもようです。要するにみんな無関心で放置ということですね。まあ、その脱力感にこそオーストリアの歴史を覗く醍醐味ありといえないこともありませんが。
◆参考資料 |
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