オーストリア散策エピソードNo.001-050 > No.047
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オーストリア料理、あれこれ
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今日はオーストリア料理のお話しにでもしましょう。長い食意地の歴史と伝統をもつ国だけあって、おいしい料理がたくさんありますよ。

オーストリア料理の代表格といえば、やっぱり「ウィンナーシュニッツェル」ですね。左の写真(1)がそれ。しかし、この料理はオーストリアで生まれたものではありませんよ。実は戦争でイタリアに繰り出したオーストリア軍がその土地でミラノ風カツレツに出会い、これがおいしかったのでウィーンに持ち込んだのです。ダテに負け戦を続けていたわけではなかったのですね。

ウィンナーシュニッツェル
(1) ウィンナーシュニッツェル

ウィンナーシュニッツェルには、ビーフのほかにポーク版もあります。また、少し塩味がついているので、食べるときにはソースをかけず、レモンの絞り汁をちょっとかけるだけです。それから、左の写真を見るとウィンナーシュニッツェルは日本のトンカツみたいですが、油で揚げるのではなく、ラードで焼くという方法で料理しているため、衣が柔らかいですよ。

写真(2)もオーストリアの代表料理です。名前は「グラッシュ」。これはパプリカ(辛いパプリカも使うことがあります)と牛肉のシチューで、ハンガリーから来た料理です。元々は羊の肉、ジャガイモ、タマネギを煮込んだ質素な野外料理のスープ(他の説もあり)だったといいます。ウィーンの人々はこれを自分たちの味覚に合わせるため、牛肉、ニンニク、ブイヨンなどを使ってコクのあるシチューにしてゆきました。ちょうどインドカレーが日本で独自の発展を遂げたのといっしょですね。

グラッシュ
(2) グラッシュ

ところで、オーストリアのレストランでグラッシュを注文すると、よく「クネーデル」が添えられて出てきます。クネーデルとは「センメル」という丸パン、小麦粉、卵で作った団子で、まあ実の入ってないオーストリア風おにぎりとでも思ったらいいでしょう。そして、このクネーデルはボヘミアから来たものです。

写真(3)は「シュヴァイネンブラーテン」です。和訳すれば「焼豚」。日本のラーメンに入っているチャーシューと似た味がします。ただし、ラーメン屋のチャーシューは煮込んで作っていますが、シュヴァイネンブラーテンは滲み出る油を何度もかけながらじっくり焼いて作ると、私のもつ料理の本には書いてありました。たしかに、ジューシーな味がします。なお、これとソーセージとクネーデルとザウアークラウトなどを盛り込んだ料理を「バウアースシュマウス(農民のご馳走)」といいます。いろいろ食べたい方にはちょっとお勧めです。

シュヴァイネンブラーテン
(3) シュヴァイネンブラーテン

写真(4)はチキンライスみたいなのをピーマンに詰めてトマトソースをかけた料理です。オーストリアのある村で家庭に招待されたとき、ご馳走になりました。そして、これまた実は外国からきた料理。バルカン地方から伝わってきたようです。また、イタリアでも似たようなものを食べた記憶があります。

パプリカごはん
(4) パプリカごはん

ちなみに、オーストリアの人はこのピーマンの中に入っているチキンライスだけを作って食べることもあります。名前は「ライスフライシュ(肉ごはん)」。家庭で手抜きをしたいときに作る料理だそうで、レストランにはありません。

オーストリアの人は魚料理も食べますよ。写真(5)がそれ。これは「フォレレ・ブルー」といいます。フォレレとは鱒のこと。これを焼いてバターで味付けします。山国で海がありませんから、魚料理といっても川魚だけ。鱒のほかというと鯰があります。あまりおいしそうな気はしませんが。なお、フォレレ・ブルーのブルーはドイツ語じゃなく、フランス語のようです。

フォレレ・ブルー
(5) フォレレ・ブルー

ついでながら、オーストリアで海の魚が食べたいときは、「ノルドゼー(北海)」という店(チェーン店です)に行くといいですよ。鱈のフライなんかを売ってます。そして一説によると、ウィーンの台所と言われるコールマルクとで最初の店は、なんとこの「ノルトゼー」だったそうです。

しかし、こうして見るとオーストリアの料理は本当に近隣の国から持ち込まれたものばかりですね。

おしまいにデザートをちょっと。オーストリアのデザートといえば、なんといっても「アプフェルシュトゥルーデル」がいちばんポピュラーです。(7)の下の写真がそれ。アプフェルとはリンゴという意味で、シュトゥルーデルは渦巻きという意味です。シナモンの香リのする薄いパイでリンゴなどを巻いて焼くからそういう名前になったのでしょう。包みの中に入れるものは家庭によっていろいろです。私が下宿してたザルツブルクのおばあさんの家では、リンゴのほかにレーズンと胡桃が入っていました。なお、アプフェルシュトゥルーデルはオーストリアの「家庭の味」の代表なだけあって、さすがに他の国にはありません。最後の締めはやっぱり母国伝統の味なんですね。

アプフェルシュトゥルーデル
(6) アプフェルシュトゥルーデル


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