ドイツ系で最も歴史ある大学といえば、やっぱり「アルト
ハイデルベルク」という小説で有名なハイデルベルク大学でしょうか。1378年の創設で、別名をヨハネス
グーテンベルク大学と言います。しかし、これが現在のドイツ語圏最古の大学じゃないって知っていましたか?
そのハイデルベルクよりも古い大学は、実をいうとオーストリアにあります。1365年創立のウィーン大学がそれです。この大学、建てた人の名前を冠して、ルドルフ4世大学という別名ももっています。しかし、話しを旧ドイツ語圏にまで広げると、さらに古い大学があります。それはカレル4世大学、時は1348年、ところはなんとプラハでした。
カレル4世(ドイツ名ではカール4世)はボヘミア国王で、オーストリアのルドルフ4世とは舅と娘婿の間柄になります。出身はルクセンブルク家ですから、血筋ばドイツ系です。当時のボヘミアにはかなりのドイツ人が住んでおり、スラブ系のチェコ人とけっこう仲良く暮らしていたんですよ。第1次、第2次大戦時のドイツ人とチェコ人の不幸な歴史を見ると想像もつかないことですが。しかし、カレル4世はかなりの名君であり、今日でも「ボヘミアの父」としてチェコの人々から尊敬されています。
カレル4世の善政を象徴するもののひとつに、今もプラハの町に残る「飢えの壁」というのがあります。不作で領民が今日の食べ物にも困ったときにカレル4世が作らせた、何の必要もない壁です。この壁作りの仕事で王は人々に賃金を払い、人々はそれで食料を手にいれました。今でいう不況時の公共事業ですね。またカレル4世は文芸や学問にも大きな理解を示し、このことで、当時のドイツ語圏では最古となるプラハ大学まで設立したわけです。
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