オーストリア散策書棚 > No.27
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ウィーンのカフェ
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ウィーンのカフェ


出版元 大修館書店 初版 1996年5月1日
著者 平田達治 体裁 13.5cm×19.5cm
ページ数 320ページ


目次

ハプスブルクの都に花開いた文化工房 - p.3
ウィーン・カフェ賛歌 
コーヒーの名付けを楽しむウィーン気質 
給仕が担う古きよき伝統
カフェに備わる三種の神器
ウィーン・カフェの特色を伝える名作短編
ウィーン・カフェ誕生の伝説と真実 − p.89
伝説が語るコルツィツキー
史実が語るコルツィツキー

ウィーン文化を支えた名店カフェ探訪 − p.129
ウィーン最初の文学カフェ - カフェ・クラマー
ビーダーマイアー時代の名店 - カフェ・白銀館
ウィーン・カフェと音楽家
時代の政治カフェ - グリーンシュタイドル
青春ウィーンを育んだ文学カフェ - グリーンシュタイドル
世紀転換期の名店 - カフェ・ツェントラル
激動の時代の文学カフェ - カフェ・ヘレンホーフ
芸術家に愛用されたカフェ・ムゼーウム
当代随一の文学カフェ - カフェ・ハヴェルカ
参考文献 - p.311
ウィー・カフェ地図 - p.314
あとがき - p.317



ひとこと


ネット検索で調べたところ、オーストリ名物であるカフェの歴史や文化を日本語で書いた本というのは意外にもありそうでないというということが判明。そんなわけで今日は非常にオースドックスなテーマながら、ウィーンのカフェを専門に扱った1冊のご紹介です。これを旅行の前に読んでおけば、現地の何気ないカフェの中で面白い発見があるかも知れませんよ。    

この本の中で特にお勧めなのは、ウィーンで最初のカフェを開いたのは誰かをめぐるインチキ伝説がバレたというトホホ話しです。コーヒーが伝わった年まで嘘八百だったというところはけっこう笑えます。また、ウィーンのコーヒーの出し方や注文の仕方も一読の価値はあるでしょう。たとえば、ヨーロッパでコーヒーに1杯の水がついてくる国はオーストリアぐらいだと思いますが、この本にはその理由がしっかり説明してあります。それと、オーストリアのカフェで注文をするときは、豆の種類じゃなくコーヒーの入れ方で注文をするのですが、その入れ方の1つ1つをこの本で覚えておけば、旅がいちだんと楽しくなるでしょう。    

なお、個人的にはウィーンだけじゃなく、ザルツブルクやインスブルックのカフェの歴史を書いた本もあったらいいのにと思っています。ザルツブルクでもカフェ・モーツァルトにはウィーンのカフェの三種の神器が残っていたし、カフェ・トマセッリだってウィーンにあっても不思議じゃない店でした。しかし、ザルツブルクとウィーンではだいぶ文化が違いますから、カフェのあり方だってどこかに違いがあったはずです。    

ちなみに、ザルツブルクのカフェといえば、カフェ・トマセッリのキルシュトルテ(サクランボのケーキ)がウィーンのケーキに比べてずいぶん甘さ控えめのあっさり味だったことを私は印象深く記憶しています。各地のカフェのコーヒーじゃなくケーキを調べてみたら、それぞれの町の興味深い土地柄が浮かび上がってくるかも知れませんね。    



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