これはウィーンで日本人向けに発行された「月刊ウィーン」に寄せて著者が1989年7月から1994年8月に書いた「ウィーン
- 知らなくてもいい話」の小文をまとめた本です。各章には4話〜6話が載っていて、全部を合わせると57話になります。
そのお話しのひとつひとつは「シシーもタバコを吸っていた」とか、「リヒテンシュタイン侯はある企みでビール工場をもっていた」といった歴史の逸話から、「ウィーンの市電の番号の謎」や「なんでヨーロッパ人は風呂に入らなくなったのか?」といった豆知識モノまであり、トホホネタこそないものの、基本的なノリは私の「オーストリア散策」の「エピソードコーナー」とちょっと共通しています。
また、知らなくていいものに限って逆に楽しいのは世の常。たとえば「モーツァルトに髭がないのは、当時流行した嗅ぎタバコの邪魔になるから」ということや、「路上のオルガン弾きという商売は貧民の自立を助ける意味もあった」というところなどを読むと、ウィーンの歴史がとても身近なものに感じられてきます。この本は小話し好きの人のほか、これからウィーンに旅行してみようという方にも是非お勧めの1冊と言えるでしょう。
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