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マリア・テレジアとその時代



マリア・テレジアとその時代

出版元 東京書籍 初版 1992年4月
著者 江村 洋 体裁 B5版
ページ数 約350ページ


目次

第1部 若き女王
王女誕生 − p.9
フランツ・シュテファン − p.19
プロイセン王フリードリヒ2世 − p.35
モルヴィッツの戦い − p.45
ハンガリー女王 − p.58
ベルリンの和 − p.70
アーヘンの和 −p.85


第2部 7年戦争
フランツ、皇帝になる − p.107
ハウクヴィッツ − p.117
女帝の新政 − p.135
軍隊の新設 − p.146
カウニッツ伯爵 − p.156
7年戦争 − p.175

第3部 母としてのマリア・テレジア
シェーンブルン − p.195
フランツ − p.204
子供たち − p.215
ヨーゼフ2世、そしてマリア・アントニア
− p.233
女帝を囲む顕官たち − p.254


第4部 晩年の女帝
フランツ帝、インスブルックで薨去 − p.162
ヨーゼフとの確執 − p.272
ポーランド分割 − p.282
学校制度の新設 − p.295
モラルの問題 − p.305
バイエルン継承戦争 − p.313
静かなシェーンブルン − p.326


ひとこと


江村先生の本はいつも歴史の講義としうよりお話しを語るという感じなので、あまりオーストリア史に馴染みのない人でも全然抵抗なく楽しんで読めると思います。今回の1冊もまさにそう。マルア・テレジアという人物がまるで身近な人のように描写してあります。

マリア・テレジアはオーストリアで最も尊敬されている人の1人で、旧ハプスブルク帝国をじっくりと、しかも確実に近代化させてゆきました。その道筋を見て散ると、どうも旧勢力を懐柔したり、そっと優秀な人材を登用したりするのが上手だったようですね。派手な行動の目立つ武将タイプとは全然違います。こういう人が国を引っ張っていったところはなかなかオーストリアらしいと思います。

マリア・テレジアはあくまでも王家の人間でしたが、実際に行ったことを見ると啓蒙君主よりもよっぽど啓蒙的です。軍隊で体罰を禁止したり、農民の子息にも社会で成功するチャンスを与えたりで。その一方で、浮気禁止令を厳しく敷いて逆に国民の浮気を増やしたところなんかは笑えます。この本でそうしたエピソードの数々を読んでいると、マリア・テレジアへの親近感がいっそう湧いてきます。




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