オーストリア散策書棚 > No.03
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オーストリア スイス 現代史
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オーストリア スイス現代史

出版元 山川出版社 初版 1984年8月
著者 矢田俊夫、田口晃 体裁 B5版
ページ数 約420ページ


目次

オーストリアとスイス--- p.3
両国を比べて/オーストリアの自然・風土・文化/スイスの自然と風土


オーストリア--- p.29〜P.252

ハプスブルク帝国期のオーストリア --- p.29
18世紀以前の概観/19世紀から第二次世界大戦まで

第1共和国の成立 --- p.53
新オーストリアの出発点/オーストリア共和国の発足と社会民主党の二面性/対外関係とザイペル内閣の出現/階級闘争と私的武装団体

第1共和国の没落と合邦 --- p.91
世界恐慌と独墺関税同盟問題/ドルフスの独裁政治j/1934年の内乱/独墺合邦への道/国歌喪失期のオーストリア

国家喪失期のオーストリア --- p.131
ヒトラー統治したのオーストリア/第二次世界大戦と連合国の態度

占領下のオーストリア --- p.147
レンナー政府と占領諸国/フィーグル-シェフ連合と1946年の管理協定/共産主義の活動/国家条約の成立とオーストリアの中立

独立と第二共和制の発展 --- p.183
最後の連立内閣期/経済政策の形成と「社会的協力」/共同市場問題/南ティロール紛争/単独政権の推移ー国民党から社会党へ/1970年-1980年代の展望


スイス --- p.253〜P.377
(目次の詳細は省略)

スイス連邦の成立まで--- p.253
スイス連邦の発展 --- p.281
大戦間のスイス --- p.325
現代のスイス--- p.351



ひとこと


オーストリアとスイスは同じ永世中立国でありながらその中立の内容は全然違います。上記の目次ではスイスのほうをかなり省略しましたが、両国の現代に至るまでを比較しながら読むと、その違いがよくわかって面白いですよ。スイスの中立は戦争で負けて大損するのはもうイヤというところがスタート。一方、オーストリアの中立は「ロシアに去ってもらうための妥協」がスタートでした。

この本は、ハプスブルク後のオーストリアの歴史を学ぶ人なら一度は読んでいることと思います。難しいイデオロギーの分析に走らず、社会現象を素直に説明しているところが読みやすくていいですね。

なお、私のもっているのはこの本の初版なので1983年の総選挙で社会党が議席を減らして長期政権だったクライスキーが首相を辞任したところまでしか書いてません。その後のオーストリアでは、ワルトハイム大統領の元ナチス疑惑とか、東西冷戦の終結で東側と西側のかけ橋という中立国の利点が失われたうえ戦後最大の経済難民問題に悩まされるとか、EUに加盟するとか、アホな外相が登場して従来の「首相−外相の王道教授ライン」が崩れるなど、大きな動きがいくつも起こっています。だから、もし読むなら古本屋のじゃなく、最新の版がいいでしょう



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