オーストリア散策 > 伝統の宿 > No.11 |
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★★★ 今日ご紹介するホテル(※注1)は観光ガイドにもよく載っているインスブルックの「ヴァイセス・クロイツ」です。このホテル名を日本語に訳すと「白十字」になります。なんだかスイスの国旗みたいな名前ですね。また、このホテルがある場所は観光名所の1つである「黄金の小屋根」(※注2)のすぐ近くで、車の多い大通りには面していません。 Weisses Kreuz (ヴァイセス・クロイツ)の正面 私が「ヴァイセス・クロイツ」に泊まったのは1980年代前半でした。また上の写真は会社の同僚が1994年に泊まったとき撮影してきたものです。でもまあ、オーストリアの古い宿は数十年程度じゃそんなに変わりませんから、このページにある写真は撮り直なさくてもいいでしょう。
モーツァルト宿泊の記念碑 なお、近くの「ゴルデナー・アードラー(金色の鷲)」というホテルには昔から王侯貴族や芸術家が数多く泊まっていたのに対し、「ヴァイセス・クロイツ」にはモーツァルト以外にこれといった人の泊まった形跡が見当たりません。しかもそのモーツァルトが訪れたのは少年時代でした。つまり、この宿は基本的に昔から一般の人々のほうを向いて家業を行っていたようです。そのせいか、宿の中にはちょっとギャグっぽい部屋も準備してありますよ。それは下の写真の部屋です。これ、窓をあけると外の風景があることはあるのですが、よく見るとそれは絵です。 インチキ窓を開けたところ もっとも、歴史の長い宿(さすがにオーナーは数百年の間に何度も変わってますけど)だけあって、「ヴァイセス・クロイツ」のマークなどはそれなりに凝っています。下の写真はこの宿の入り口の上の部分なのですが、ここに描かれている白十字と葡萄の絵は、インスブルックを愛したハプスブルク家出身の神聖ローマ帝国・マクシミリアン1世とブルゴーニュ公国のマリアの結婚と遠まわしながら祝しているのだそうです。 葡萄と白十字の絵 また、下の写真はこの宿の前に出ている看板なのですが、このマークができたのは1665年なのだそうです。で、この看板は字が小さくてに白十字のマークだけ目立ちますが、これは当時字の読めない人が多かったためです。しかし、17世紀には字が読めない人でもここに食事や宿泊をしに来たということは、「ヴァイセス・クロイツ」ができた15世紀よりも人々の生活水準が上がってきたことの証拠になりますね。こういうところにもそこはかとなく、歴史の流れを感じることができます。 白十字の看板 このほかにも「ヴァイセス・クロイツ」の中を探せば、もっといろいろな歴史の足跡を見つけることができると思います。ここに泊まり宝探し気分で館内を探索してみるのも面白いかも知れませんね。また、「ヴァイセス・クロイツ」の1階はわりとお手軽なレストランになっていますので、宿泊以外の方もお時間がありましたら一度どうぞ。
※注1)「ヴァイセス・クロイツ」はHotel(ホテル)ではなくGasthofですから、正確に言うと「料理屋付きの旅籠」あるいは「旅籠付きの料理屋」ということになります。 |
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