オーストリア散策シシー > トピックス No.02
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シシーの髪飾り・よもやま話し
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シシー(1864年、ヴァインハルター画)
シシーの肖像画

ネット検索で調べたところ、マニアがシシーのコスプレをするときには、上の肖像画が最も多くお手本に使われていました。この絵はシシーの美貌が頂点にあった1864年(27歳のとき)にフランツ・ヴィンターハルター(1805-1873年)という宮廷画家が描いたものです。そして、世界のコスプレイヤーのみなさんがこの肖像画を真似するときのドレスは時として微妙に、そして時には激しくオリジナルとデザインが異なるのですが、髪飾りのほうだけは男性(例えば この人)が女装してシシーに化けるときですら、ちゃんと本人と同じ数だけつけています。まさにこの髪飾りこそ、シシーコスプレイヤーたちのこだわりのポイントだったのですね。

ちなみに、この髪飾りは「シシーの星」といって、ハプスブルク家ご用達の宝石商・アレクサンダー・エマヌエル・ケッヒェルトがその大半をデザインしたもの(お店によると、アレクサンダーが全部をひとりでデザインしたわけではないとのこと)だそうです。で、そのオリジナルは下の写真のとおり、プラチナでできた2つの星(たぶんヒトデではないでしょう)を重ね、その上にたくさんのダイヤモンドを散りばめています。

「シシーの星」
「シシーの星」

それとですね、この髪飾りって実はけっこう重さがありそうです。斜め横から見ると下の写真のとおりの厚さですから。ただでさえ髪の重量が大きいところにこんなのを十数個もつけて、シシーはさぞ頭が重かったことでしょうね。

斜めから見た「シシーの星」
斜めから見た「シシーの星」

ついでにもうひとつ豆知識を。今回ご紹介の「シシーの星」は、下の写真にある道具を使うとブローチやペンダントにすることもできます。同じデザインの宝飾品をムダにいくつも作らないで経費を節約する努力もこっそり行われていたのでしょうか?そういえば、この髪飾りをしたシシーの肖像画が描かれてから9年後には、大恐慌でウィーンの株価が大暴落しています。節約しておいてよかったですね。

「シシーの星」の加工道具
「シシーの星」の加工道具

ところでこの「シシーの星」ですが、実は今でもウィーンのケッヒェルト(Koechert)がオリジナルそのままの品を販売しております。で、そのお値段はいちばん大きいのが本日現在(2010/7/4現在)で13,800ユーロ(本日の為替レートで約152万円)。シシーはこれを27個持っていたといいますから、同じ数を揃えたら4,110万円ですね。コスプレで買うにはエラく値が張ります。が、今売っている「シシーの星」にはもっと小さいのもあって、下の写真のあるいちばん左にある最もコンパクトなのは1個2,680ユーロ(29万5千円)です。まあ、これでも27個集めたら約800万円なので、それなりの根性が必要なことに変わりはありませんが。

「シシーの星」のラインアップ
「シシーの星」のラインアップ

そういえば、普通のシシーコスプレイヤーのみなさんは「シシーの星」をどこから手に入れているんでしょう?まさか自力で作っているわけじゃありませんよね?というわけで、今日はケッヒェルトよりもっと現実的な「シシーの星」を探してみました。すると、ひとついいのがありましたよ。それは下の写真にあるチロルのクリスタルガラスの名門・スヴァロフスキーの提供する「シシーの星」です。これはサイズが直径3.5cmでお値段は19.9ユーロ(約2,200円)。ケッヒェルトに比べて一気に3桁もお安くなるところは極端だし、形もずいぶんオリジナルとは違うみたいですが、細かいことを気にすることはありません。スヴァロフスキーのクリスタルガラスならダイヤモンドに負けないくらい(少しは負けますが)きれいだし、星の形がエーデルワイスみたいになっているのだって、そのほうがオーストリアらしくていいともいえますから。このスヴァロフスキーの「シシーの星」は、ウィーンのホーフブルク宮殿内にある「シシー博物館」で売っています。また、ウィーンまで行けない人には、こちらでネット販売もしています。

スヴァロフスキーの「シシーの星」

それから、気合いを入れてコスプレをするほどではないけれど、ちょっとシシーの格好をしてみたいという方には、宝塚が「シシーに変装&記念写真」のサービス(→これ)をしています。男性がシシーに女装するものOKかどうかは分かりませんが。


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