オーストリア散策シシー > アラカルトNo.04
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ダイエット狂いのシシーも甘いものは好き
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シシーの体操設備

シシーは身長172cmでウエスト50cmというほっそりした体型にもかかわらず、常に「自分は太り始めている」という思いにかられていたといいます。子供のときはそうでもなかったのですが。ウィーンの宮廷の居心地が悪くて食欲が失せていったというのがもっぱらの見方です。また、少女の頃からよく悩まされた足や顔のむくみを肥満だと思い込んだことも、これに拍車をかけたのだとか。

シシーがほとんど食べないことに最初の誰かが気付いたのは1853年8月17日のことでした。婚家のウィーンの親戚が同席したイシュルでの晩餐会で、隣席のルトヴィヒ フォン メヘッセンが「シシーはスープとサラダにしか手をつけていない」と気付いています。


しかし、食事をとらないわりにシシーはよく動く女性でした。あの細い体のどこにそんなエネルギーがあるのかと思えるほどに。乗馬はもちろんのこと、シェイプアップのためと称して宮廷内にフィットネスの設備(左の写真)まで取り付けてましたから。

ただ、ロクに食べず運動ばかりする生活はシシーにいろいろな病気をもたらしました。胃腸の痙攣やカタル、そして便秘まで。だから真似してはいけませんよ。これは私見ですが、プロポーションの美しさのポイントは「いかに痩せているか」ではなく「いかに均整がとれているか」にあると思います。たまたまシシーの場合は均整と細身の両方を維持しましたが、これは健康に悪いばかりか、美しさを損なう危険もあります。

さて、そんなシシーにも、思わず手の出る食べ物がありました。なんと、それは甘いものです。その証拠に、宮中ご用達のお菓子製造業者であるデーメルやゲルストナーから数多くの請求書が残されています。また、ウィーンの菓子職人カボスの特製チョコレートは、わざわざギリシアの別荘にまで送り届けさせたほどだといいます。カボスはコートダジュールにも店をもっていたのですが、シシーはここで過ごすときも定期的にその店をと訪れては山のように甘いものを買っていきました。このほかシシーの好きだったものにはアイスクリーム、ビスケット、プレッツェル、ラスクがあったといいますが、その中でも特に「すみれのアイスクリーム」を好んだそうですよ。これ、どんなアイスなんでしょうね。今でも売ってるんでしょうか?



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