オーストリア散策伝統の宿 > No.04
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Goldener Adler (インスブルック)
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Goldener Adler

★★★★

Goldener Adler (ゴルデナー・アードラー)とは、「黄金の鷲」という意味です。鷲はよく王家の紋章などに使われます。そういいえば、この近くにはRoter Adler(赤い鷲)というホテルもあります。赤い鷲はチロルのシンボルだから、Roter Adlerはさしずめチロル亭といったところでしょうか。一方Goldner Aderの名前は、近くにある名所のGoldenes Dachel(黄金の小屋根)と鷲を足したものかも知れません。

下の写真は1991年8月に撮影したもので、その翌年には改装工事が行われて、今はもっときれいになっています。

外観

このホテル、創業は1393年ですから、かれこれ600年以上も営業していることになります。もちろん、そのあいだに何度かオーナーは変わっていますが。

Goldner Adlerは、その長い歴史の中で、多くの王侯貴族や文化人を迎え入れてきました。主な顧客には、神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世(1777年)、作家ゲーテ(1786年)、バイエルン国王ルードヴィヒ1世(1818年)、詩人ハイネ(1832年)などがいます。戦後にはオットー・フォン・ハプスブルク(1969年)、サルトル(1972年)なども滞在しました。また、余談ですが、1809年頃この宿は対ナポレオン戦争の指令拠点となったこともあります。


ドア

■歴史の香り
各部屋のドアの上のところには、かつての顧客たちの名前が記されています。このホテルのもつ長い歴史の名残りでしょうか。左の写真には「ゲーテ 1786 - 1790」と書いてありますね。ついでながら、この近くにはWeisses Kreuz(白十字亭)という老舗ホテルがあり、そこにはモーツァルトが泊まっていました。同ホテルは3つ星クラスです。


■落ち着いた室内
室内で特徴的なのは、照明がちょっと控えめなこと(わかりやすくいうと、部屋が暗い)です。また、窓も小さめなのですが、これはかつて国王や貴族などの要人が多く泊まったことから、セキュリティーを重視した結果なのでしょう。そういえば壁もけっこう厚くて頑丈だった気がします。なお、スタンダードルームの室内はそれほど広くありませんが、宿泊客向けのロビーはゆったりくつろげる雰囲気の造りだったと記憶しています。また、内部には古めかしい絵とか調度品があり、ちょっと博物館にいるようです。

室内

■ゲーテも訪れたレストラン
このホテルには3つのレストランがあります。そのうちのひとつが、右の写真のゲーテシュトゥーベです。このホテルでは実際にゲーテが食事をとったこともあります。また、奥に掛かっているゲーテの肖像画はレプリカですが、これは日本の教科書にも載っていましたね。

ゲーテシュトゥーベ


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