オーストリア散策 > エピソード > No.051-100 > No.098 |
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ウィーン大学の近くに、フォーティーフ教会(Votifkirche)という大きな建物があります。これ、日本語に訳すと「奉納教会」という意味です。で、その名のとおりこの教会は、皇帝フランツ・ヨーゼフが暗殺されそうになって危うく助かったことを感謝して、神様に奉納されたものなんですよ。 |
フランツ・ヨーゼフに刃を向けたリべーニのは21歳の仕立て屋でした。で、その現場に出くわして咄嗟にリベーニを投げ飛ばしたエッテンライヒは、53歳の肉屋さんです。若いモンにはまだ負けないぞという感じですね。また、この絵で皇帝は澄ました顔をしながら後ろを振り向いていますが、それは暗殺者の気配を敏感に感じ取ったからではなく、通りすがりの女の人が驚いて「人殺し!」と叫んだためでした。かなり呑気ですね。それに、欧州切っての名家出身である皇帝の周りにいたのが仕立て屋と肉屋と名も知れぬ女の人というのは、なんかすごく奇妙な取り合わせです。オーストリア以外ではまずあり得ないことでしょう。あと、この絵の外には取り押さえられたリベーニをボコボコの袋叩きにする群集もいました。全体として、歴史に残る事件のわりには配役がどうも貧相でトホホです。 ◆参考文献 1. Virtual Vienna Net - The Kaiser, the Tailor and the Church of Deliverance: http://www.virtualvienna.net/columns/duncan/votivekirche.html 2. SALZBURG.AT - Kaiserbelonung: http://www.salzburg.at/themen/leben/politik.html?NewsID=30054 3. OESTERREICHISCHES BIOGRAPHISCHES LEXIKON: http://hw.oeaw.ac.at/oebl/oebl_E/Ettenreich_Christian-Josef_1800_1875.xml 4. Geschichte der Neudergasse: http://www.neudeggergasse.at/geschichte.htm 5.ハプスブルク夜話 - 皇帝暗殺計画: Georg Markus著、江村洋訳、河出書房 6. ウィーン - フランツヨーゼフの時代: 上田浩二著、ちくま新書 |
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