オーストリアのシンボルといえば、なんと言ってもドナウ川でしょう。あの有名な「美しき青きドナウ(Auf
dem schoenen blauen Donau)」はこの国の第2の国歌といわれています。では、ドナウ(Donau)の語源は何でしょう?実はこれ、ケルト語で単なる「川」を意味する「donu」に語源をもっているのです。一般のオーストリア人は知っているのでしょうか?ついでながら、ドイツを代表する川である「ライン川」の語源も「rin」というケルト語で、その意味は単なる「流れ」とか「川」です。これがその後Rheinという発音に変化し、現在に至るわけです。また、フランスにもローヌ(Rhone)川とかランヌ(Renne)川という、ケルト語を思わせる名の川がいくつかあります。
ところで、ケルト人はドナウ川の名前のほかにも、オーストリアに多くの足跡を残しました。例えば、チロルの古い町、Hall
in Tirol (正式名称はSolbad Hallです)や、ザルツブルクの南にあるHalleinという地名は、いずれもケルト語で「塩」を意味する「hal」ということばを含んでいます。そして、事実両方の町とも、付近で岩塩が採掘できました。また、先に述べたハルシュタット(Hallstadt)も地名に「hal」が入っています。