オーストリア散策書棚 > No.22
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Alter Bauernkalender
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出版元 LeykamDruck, Universitaets-
buchdruckerei GmbH, Graz
発行年 1994年
著者 Manfred Lang, Sepp Walter,
Ulf Boemig, Atzi Poesch,
Helmut Stoeckler
体裁 A5版
言語 ドイツ語 ページ数 128ページ


概要


これはハプスブルク時代のオーストリアで発行されていた「農民カレンダー」を現代向けにアレンジした1冊のようです。ここではその構成と内容をひととおりご紹介してゆきましょう。

まず最初のページには、このカレンダーで使われている主な記号(18種類)の意味が出ています。で、その対向ページには巻頭のことばがあり、「自然との調和がとれた生活を目指しましょう」ということが述べられています。そのあと1ページの目次を経て、待望のカレンダーが始まります。

下の画像はこの本の中にある1月のカレンダーです。図の中で黒い▲のマークは平日、十字架のついた赤半円のマークは日曜日、そして赤いのマークは祝日を現しています。また、多くの日が人物の絵と細い線でつながっていますが、これはその日の聖人を現したものです。全体として今の日本のカレンダーとはずいぶん違いますけど、なんかレトロでいいですね。また、こうして物事をビジュアルで示すのは、たぶん原本が出た頃の人々の識字率が低かったためでしょう。

また、各月の対向ページには「今月の庭の世話」というコーナーもあります。ここって、元々は畑の世話のことが書いてあったのでしょうね。

さて、お次は各日のカレンダーです。ここではポイントとなる日の日の出と日の入りの時刻のほか、ときどきその日の聖人にちなんだことばが記されています。たとえば下の画像では聖ヴィンツェンツの絵がある1月22日のところに、「聖ヴィンツェンツの陽光は穀物とワインを給わす」と書いてありますよ。ただの陽光よりもありがたそうに聞こえますね。

おしまいに、このカレンダーの巻末には約30ページにわたって料理と健康に関する知恵が書いてあります。料理のほうはオーストリア各地のほか、ドイツ南西部のシュヴァーベン地方のまで載っています。一方、健康に関するところでは、医薬品などにあまり頼らない生活のガイドが書いてあります。また、12月のカレンダーの前後と3月のカレンダーの前のページには自然保護に関するコーナーもあり、そこには土を守ることや動物の住空間を守るための知恵が書かれています。


ひとこと


この本は全部ドイツ語だし、その大半を占めるカレンダーの部分が古い書体で書かれているので、ちょっとマニア向けですね。ただし、巻頭のことば、料理、健康、環境保護の部分は今の普通のアルファベットで書いてあります。また、旧書体の部分も含め、綴りはすべて現代ドイツ語にしてあります。それに、ドイツ語なんかわからなかくたって、このカレンダーは絵を見ているだけでも昔のオーストリアにいた農民たちの生活の香りがなんとなく伝わってきますから、それもそれでなかなか楽しいですよ。また、カレンダーの部分にはそれなりに書き込みをするスペースも十分ありますから、たまには気分を変えて1年間これを手帳代わりに使ってみるのも面白いでしょうね。



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