オーストリア散策書棚 > No.21
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中世最後の騎士 - マクシミリアン1世伝
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中世最後の騎士 - マクシミリアン1世伝


出版元 中央公論社 初版 1987年3月
著者 江村 洋 体裁 B5版
ページ数 約440 ページ


目次


第1部 ブルグントへの旅
神聖ローマ帝国 − p.5
少年マックス − p.17
ブルグント公国 − p.26
旅立ち − p.39
ギネガッテの戦い − p.56
ブルグントの愛蘭 − p.70

第2部 帝国のローマ王
フランクフルト − p.87
ブリュージュの俘囚 − p.96
ブルグントy、さらば!− p.110
帝国の諸問題 − p.122

第3部 イタリアの覇権をめぐって
ミラノ公女との身分違いな結婚 − p.169
神聖同盟成立する − p.183
ヴルムスの帝国議会 − p.198
アルプスの峻嶺を越えて − p.209
神聖同盟の崩壊 − p.218


第4部 スイス戦争と
バイエルン継承戦争の合間で

スイスの離反 − p.235
アウグスブルクの帝国議会 − p250
ルイ12世の陰謀 − p.258
バイエルン継承戦争 − p.274


第5部 ローマへの道
オーストリアの統治 − p.293
フィリップ美公、客死する − p.302
ハンガリーの平原へ − p.315
ヴェネチア戦前夜 − p.323
無冠の皇帝 − p.338
カンブレの秘密協約 − p.350

第6部 ロンバルディアにおける
熾烈な戦い
同盟関係、逆転する − p.357
ユリウス2世薨去 − p.368
ヤゲロー朝との二重結婚 − p.383
無念のヴェローナ明け渡し − p.394
カールのローマ王選出 − p.407
心は慈母と最愛の妃のもとへ − p.421


ひとこと


マクシミリアン1世は粘着質の祖母シムブルギス、腰抜けでダメダメの父帝フリードリヒ3世、そして父と不仲の母エレオノーレに囲まれた環境で育ちながら、どうしてあそこまで明るく伸び伸びした人間になれたのか不思議です。いいかげんなれど陽気な祖父エルンスト大公の影響でしょうか?それとも、よほどよい友人たちにに恵まれていたのでしょうか?いずれにせよ、家庭がちょっとぐらいスカでも、どこかに浮かばれる道くらいあるということだけは確かなのでしょう。

本のタイトルに「中世最後の騎士」とあることからもおわかりいただけるように、マクシミリアンはあの時代にしては信じられないほどマトモな神経をもつ皇帝でした。しかも近寄り難いとろがないところはハプスブルク家の始祖ルドルフ1世のようでもあります。それに、傭兵をお金の力よりも自分の理念や器の大きさで取り込んだところなどは、実にあっぱれという感じですね。

世の中一般には「厳しい時代は厳しく生き抜くべき」という風潮がありますけど、考えてみればそれは凡人のやることですね。厳しい時代を温和に超えるように努力したことが、マクシミリアン1世の非凡さだと思いました。そう考えると、今戦争をしている国の指導者とかテロや内戦を仕掛けている武装集団なんてのは、凡人ばかりだから不毛に戦ってるともいえそうですね。



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